中学からの作文・論文

作文・論文を書くための本質化・論理構成・文章表現。
(基礎知識: ことわざ・慣用句、三字・四字熟語、古文、漢字)
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緊急時の説得

 命令口調で避難指示をした、という記事が新聞に載っていました。

 町は45か所のスピーカーでサイレンを鳴らし、避難を呼びかけた。第2波は海岸から約760m離れた消防本部の目前まで迫り、車やがれきが流れてきた。本部隣の町役場2階から津波を見た町長は、「とんでもないことになる」と思った。「そんな生ぬるい言い方では駄目だ。『避難せよ』だ」。町長の指示は消防に伝えられた。
 「指示通り、伝える言葉をメモしました。一度声に出してみてから、「緊急避難命令。高台に避難せよ!」と強い口調で言いました。最初は抵抗がありましたが、緊迫した状況も伝わると思い、何度も繰り返しました」
(読売新聞2012年9月4日朝刊 「命令口調で『避難せよ』」 から抜粋)

 「高台に避難してください」を「高台に避難せよ」と言い換えて放送することで、緊張感・切迫感が高まりました。「逃げないといけない」 「これは普通じゃない」と思った住民は即座に高台に向かったそうです。

 避難指示の口調について、説得の観点から考えてみましょう。

 説得の目的は、自分の意図する行動を相手に促すことです。そのためには、相手の同意を得るようにしましょう。

 同意を得るための表現例を掲げます。記事の場合は、「してください」という依頼表現から、「せよ」という命令表現に変更されました。
  せよ・しなさい(命令)
  してください(依頼)
  してほしい(要求)
  してはどうですか(勧告)
  したほうがよい(推奨)
  しましょう(勧誘)
  しませんか(提案)
  していただけませんか(確認)

 同じ説得であっても、言い方によって相手の反応が異なります。新聞の例では、「強い口調の方が、危機感が高まる」ことがわかりました。

 命令と依頼の関係は、イソップの「北風と太陽」や、経営学者ダグラス・マクレガーの「XY理論」と似ています。旅人の服を脱がせるために、北風は冷たく強制し、太陽は温かく自発を促します。XY理論とは、人は本来働かないので命令によって働かせようとする理論と、人は自己を実現するために自ら進んで懸命に働くという理論から成ります。

  北風  太陽   X理論 Y理論   命令  依頼
 冷たい←→温かい  不信←→信頼   不信←→信頼
   |   |    |   |    |   |
  強制←→自発   命令←→自発   他律←→自律


 緊急時には命令による説得が、平常時には自発を促す説得が向いているようです。


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