緊急時の説得
命令口調で避難指示をした、という記事が新聞に載っていました。
「高台に避難してください」を「高台に避難せよ」と言い換えて放送することで、緊張感・切迫感が高まりました。「逃げないといけない」 「これは普通じゃない」と思った住民は即座に高台に向かったそうです。
避難指示の口調について、説得の観点から考えてみましょう。
説得の目的は、自分の意図する行動を相手に促すことです。そのためには、相手の同意を得るようにしましょう。
同意を得るための表現例を掲げます。記事の場合は、「してください」という依頼表現から、「せよ」という命令表現に変更されました。
せよ・しなさい(命令)
してください(依頼)
してほしい(要求)
してはどうですか(勧告)
したほうがよい(推奨)
しましょう(勧誘)
しませんか(提案)
していただけませんか(確認)
同じ説得であっても、言い方によって相手の反応が異なります。新聞の例では、「強い口調の方が、危機感が高まる」ことがわかりました。
命令と依頼の関係は、イソップの「北風と太陽」や、経営学者ダグラス・マクレガーの「XY理論」と似ています。旅人の服を脱がせるために、北風は冷たく強制し、太陽は温かく自発を促します。XY理論とは、人は本来働かないので命令によって働かせようとするX理論と、人は自己を実現するために自ら進んで懸命に働くというY理論から成ります。
北風 太陽 X理論 Y理論 命令 依頼
冷たい←→温かい 不信←→信頼 不信←→信頼
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強制←→自発 命令←→自発 他律←→自律
緊急時には命令による説得が、平常時には自発を促す説得が向いているようです。
町は45か所のスピーカーでサイレンを鳴らし、避難を呼びかけた。第2波は海岸から約760m離れた消防本部の目前まで迫り、車やがれきが流れてきた。本部隣の町役場2階から津波を見た町長は、「とんでもないことになる」と思った。「そんな生ぬるい言い方では駄目だ。『避難せよ』だ」。町長の指示は消防に伝えられた。 「指示通り、伝える言葉をメモしました。一度声に出してみてから、「緊急避難命令。高台に避難せよ!」と強い口調で言いました。最初は抵抗がありましたが、緊迫した状況も伝わると思い、何度も繰り返しました」 |
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(読売新聞2012年9月4日朝刊 「命令口調で『避難せよ』」 から抜粋) |
「高台に避難してください」を「高台に避難せよ」と言い換えて放送することで、緊張感・切迫感が高まりました。「逃げないといけない」 「これは普通じゃない」と思った住民は即座に高台に向かったそうです。
避難指示の口調について、説得の観点から考えてみましょう。
説得の目的は、自分の意図する行動を相手に促すことです。そのためには、相手の同意を得るようにしましょう。
同意を得るための表現例を掲げます。記事の場合は、「してください」という依頼表現から、「せよ」という命令表現に変更されました。
せよ・しなさい(命令)
してください(依頼)
してほしい(要求)
してはどうですか(勧告)
したほうがよい(推奨)
しましょう(勧誘)
しませんか(提案)
していただけませんか(確認)
同じ説得であっても、言い方によって相手の反応が異なります。新聞の例では、「強い口調の方が、危機感が高まる」ことがわかりました。
命令と依頼の関係は、イソップの「北風と太陽」や、経営学者ダグラス・マクレガーの「XY理論」と似ています。旅人の服を脱がせるために、北風は冷たく強制し、太陽は温かく自発を促します。XY理論とは、人は本来働かないので命令によって働かせようとするX理論と、人は自己を実現するために自ら進んで懸命に働くというY理論から成ります。
北風 太陽 X理論 Y理論 命令 依頼
冷たい←→温かい 不信←→信頼 不信←→信頼
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強制←→自発 命令←→自発 他律←→自律
緊急時には命令による説得が、平常時には自発を促す説得が向いているようです。
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