中学からの作文・論文

作文・論文を書くための本質化・論理構成・文章表現。
(基礎知識: ことわざ・慣用句、三字・四字熟語、古文、漢字)
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芭蕉と折句

 「松尾芭蕉ならば、折句(おりく)を用いているのではないか」と考えた。折句は、句の最初の文字に名前を詠んだものだ。

 芭蕉の俳句に「古池や 蛙(かはづ)飛びこむ 水の音」がある。この句を折句で捉えると、「ふかみ」となり、池の深みにカエルが飛び込む様子となる。

 他の句はどうだろう。上句・中句・下句の頭文字を(  )内に示す。
  五月雨(さみだれ)を あつめて早し 最上川  (さあも)
  閑(しづ)かさや 岩にしみ入る 蝉の声  (しいせ)
  夏草や 兵(つはもの)どもが 夢の跡   (なつゆ)
  荒海や 佐渡に横たふ 天の川  (あさあ)
  旅に病んで 夢は枯野を かけ廻(めぐ)る  (たゆか)

 他の句の頭文字は「ふかみ」のようにはなっていない。そこで、「ふか水」とした。「深水」となり、深い水を表す。他の句も同様の構造になっていないか。
 古池や 蛙飛びこむ 水の音 (ふかみ) 深(い)水
 五月雨を あつめて早し 最上川 (さあも) ざあ(っと)最上川
 閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声 (しいせ) 椎(に)蝉
 夏草や 兵どもが 夢の跡 (なつゆ) 夏(の)夢
 荒海や 佐渡に横たふ 天の川 (あさあ) 朝(の)天の川
 旅に病んで 夢は枯野を かけ廻る (たゆか) 絶ゆ かけ廻る

 芭蕉の6つの句を調べると、上句と中句の頭文字が下句を修飾し、次のように俳句の内容を端的に表しているようである。
深い水(ふかみ)、ざあっと流れる最上川(さあも)、椎の木に蝉(しいせ)、夏の夢(なつゆ)、早朝の天の川(あさあ)、絶ゆ かけ廻る(たゆか)。

 病床で詠んだ「旅に病んで 夢は」の「絶ゆ」は息絶えることを表す。なお、ドングリのなる椎の木(スダジイ)は山形県の庄内地方にあるが、「閑さや」の山寺(立石寺りっしゃくじ)にあったかは不明。

 芭蕉は、最初に主題の折句を決め、次に上句・中句・下句の細部を詠んだのではないだろうか。伊勢物語のカキツバタの句のように。

から衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞ思ふ


(関連)
論文作成 「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」は何ゼミか


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