中学からの作文・論文

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イワナの分類 その2

 イワナの分類は、今西氏と大島氏とでは異なっていました。大島氏は、オショロコマ以外のイワナを外見からアメマス・ニッコウイワナ・ヤマトイワナ・ゴギの4種に分けました。一方、今西氏はオショロコマ以外のイワナを地理的変異ととらえ、イワナ1種としました(ゴギはイワナの亜種としています)。

     

 大島氏の根拠は斑点色の違いでしたが、同じ河川で黄色や赤色の斑点を持つイワナが見つかったり、南の地域でも黄色の斑点を持つイワナが見つかったりして、分布域が重複していることがわかりました。

 これに対し今西氏は、斑点色の違いは地域差であって種を決める基準にはならず、4種のイワナは同一種であるとしました。今西氏は、ハクスレーのクラインという考え方(地理的位置づけの違いに応じて同一種内の固体があらわす系統的な変異)によってイワナの斑点色の推移傾向を説明しました。同様の現象がクマの体毛色について見られます。クマは、南から北になるにつれて、黒→茶→灰→白へと毛の色が薄くなっています。

 今西氏によると、分類をする人には、細別主義者(スプリッター)と総合主義者(ランパー)がいるそうです。今西氏はどちらでもなく斑点色の違いは種差ではなく、同一種内の地理的変異であることをクラインの概念を援用して理論化しました。つまり、細別するか大別するかを主義や外形などで決めるのではなく、不変的な基準である構造を見いだし種を分類しました。

 その後の研究によると、今西説は解剖学的特徴によっても実証されました。例えば、エラの数(鰓杷数)と緯度の連続的な相関、胃の一部の数(幽門垂数)と緯度の連続的な相関が確認されています。また、血液中のヘモグロビンの分析結果も、4種は同一種であり、オショロコマとイワナの2種に大別できることがわかりました。



 今西説は、不変の構造を基準にすることによって分類の客観性・科学性が高まり、他の研究者によっても実証されました。日本産のイワナはオショロコマとイワナの2種であり、外観が異なっていても、アメマス・ニッコウイワナ・ヤマトイワナ・ゴギの四つの型は、同一種内の変異にすぎないと考えられるようになりました。

参考文献
1.吉本万里編集:イワナ・ヤマメ(安江安宣:南限地帯のイワナ),産報出版.
2.今西錦司:イワナとヤマメ,平凡社.
3.山本 聡:イワナその生態と釣り,つり人社.
4.石城謙吉:イワナの謎を追う,岩波新書.


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