中学からの作文・論文

作文・論文を書くための本質化・論理構成・文章表現。
(基礎知識: ことわざ・慣用句、三字・四字熟語、古文、漢字)
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直感と科学とスポーツ

 都立日比谷高校と岡山朝日高校の2006年入試問題は、どちらも茂木健一郎著『脳と創造性』から出題されています。前者は直感による創造力が問題文に、後者は偶然を活かす能力が問題文になっています。

 これから都立日比谷高校での出題文の一部を見てみましょう。推論と直感が対比されています。

 「コンピュータが得意とする論理的な推論も、脳はどちらかと言えば苦手である。論理的に言えば、「AならばB」が成り立つ時に、必ず正しいと言えるのは、「BでなければAでない」(対偶)である。ところが、人間はしばしば「AならばB」が正しければ「BならばAも正しいだろう、と思ってしまう。簡単に論理から逸脱してしまうのである。コンピュータならば、決められた手続きにしたがってあっという間に実行してしまうような論理的な推論を、人間は、論理式の一つ一つをいちいち確認しながら、ステップを踏んでゆっくりとやることができるだけである。」

 この段落は、推論について書かれています。対偶は(A→B)≡(−B→−A) と表すことができ、このような表現を論理式といいます。(A→B)→(B→A) とはいえません。なぜなら、Aを「カラスである」、「Bを鳥である」とすると、「鳥であるならばカラスである」となってしまいます。カラスのほかにもたくさん鳥がいます。
 「論理式の一つ一つをいちいち確認しながら・・・」というのは、移行の法則 のように(A→B)で(B→C)→(A→C)によって答え(A→C)を導き出すことです。「カラスはハトより大きい。ハトはスズメより大きい。だから、カラスはスズメより大きい」となります。

 「創造性において、直感の果たす役割は大きい。直感はしばしば論理から逸脱する。単にランダムに逸脱するのではなく、有機的に意味を生成する方向に逸脱する点にポイントがある。人間の脳が生み出す「何となくこれが正しそうだ、いけそうだ」という感情に支えられた直感は、論理的に解析できると思われているような問題や場面でも、重要な役割を果たしている。
 プロの将棋指しは、次の一手は大体数秒で判ってしまうものだという。理屈ではなく、直感で、「この手が良い」と瞬間的に浮かんでしまうものだというのだ。 (中略) 次の一手はこれだ、という直感が最初にあり、論理的な読みは、後でそれを補強する役割をはたしているということになる。」 

 直感は推論によらず、感覚的に瞬時に答えを見出すことです。知識・経験・五感などにもとづく類推が直感につながるようです。将棋の場合は、定石とよばれる類型とバリエーションの積み重ねが「次の一手」の推理につながるのでしょう。直感によって「次の一手」がわかると、それが妥当か頭の中で確かめています。

 いいかえると、推理、仮説、検証、改善が行われています。推理によって仮説をつくり、その仮説が妥当であることを推論・実証する。もし不具合があれば仮説を改善する。― これは科学のプロセスです。スポーツにもあてはまります。たとえば、サッカー選手は次の行動を瞬時に推理し、それにしたがって行動し、不具合があれば補正しながら次の行動に移ります。将棋も科学もスポーツも同じ原理になっているといえそうです。

     推理 ─→ 仮説 ─→ 検証 ─→ 発展
   直感・類推       推論・実証
     ↑           │
     └───────────┘
           
改善


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