中学からの作文・論文

作文・論文を書くための本質化・論理構成・文章表現。
(基礎知識: ことわざ・慣用句、三字・四字熟語、古文、漢字)
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無括型の文章

 事実を述べることによって、主張を伝える無括型の文章があります。主張を押しつけないので受け入れやすく、余韻が残ります。主張を明らかに述べる頭括型・尾括型・双括型と比べ、高度な文章技術といえましょう。

 新聞に、このような無括型の投稿記事が載っていました。

 クリのリュック

 食糧事情の悪かった終戦直後のことである。
 自宅敷地内の「クリ山」と称した裏山に、数本のクリの木があった。我が家では、収穫したクリを販売していたらしい。
 ある日、父と一緒にクリ拾いに行くと、木の間に人影が見えた。「クリ!」と父が叫ぶと、人影の男は傍らのリュックサックをつかんで逃げ出した。
 「待てー」。足に自信のある父と、男の距離は見る間に縮まり、男はリュックを捨てて走り去った。父は得意げに、底の部分にわずかなクリが入ったリュックをぶら下げて戻ってきた。
 家に帰ると、リュックのすり切れたヒモの部分に「東京都・・・・・・」と住所と名前が記してあった。その時、父は何を思ったのか、掘ってあったサツマイモをリュックに詰めて荷造りし、近くの鉄道の駅からその住所へ送った。
 荷物は無事着いたようで、先方から返事がきたようだった。その後、父とその方との文通は何年か続いた。
 クリが実る時期になると思い出す出来事である。

 (『読売新聞』 2006年10月16日朝刊 「ぷらざ」― 埼玉県
 東松山市・清水 ムラ 64) 

 リュックに詰まっていたもの― 64歳になった清水さんは、父親の行動から学んだことを、次の世代をになう人たちに広く伝えたかったのではないでしょうか。その方法は父親が行ったように、自ら気がつく伝えかたによって。


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