中学からの作文・論文

作文・論文を書くための本質化・論理構成・文章表現。
(基礎知識: ことわざ・慣用句、三字・四字熟語、古文、漢字)
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比喩「ように」の作りかた

 志賀直哉「暗夜行路」の自然描写を例に、「ように」を使った比喩の作りかたを考えてみましょう。

 「明け方の風物の変化は非常に早かった。少時して、彼が振り返って見た時には、山頂の彼方から湧上がるやうに橙色の曙光が昇ってきた。それが見る見る濃くなり、やがて又褪せはじめると、四方は急に明るくなってきた。 (中略) 小鳥が啼きながら、投げた石のやうに弧を描いてその上を飛んで、又萱の中へ潜込んだ。
 中の海の彼方から、海へ突き出した連山の頂が色づくと、美保の関の白い灯台も陽を受け、はっきりと浮かび出した。間もなく、中の海の大根島にも陽が当たり、それが赤鱏(あかえい)を伏せたやうに平たく、大きく見えた。 (中略) 謙作は不図、今見ている景色に、自分のいる此大山がはっきりと影を映している事に気がついた。影の輪郭が中の海から陸へ上がって来ると、米子の町が急に明るく見え出したので初めて気付いたが、それは停止することなく、恰度地引網のやうに手繰られて来た。」

 「ように」が四か所で使われています。
〇劃困糧猜から湧上がるやうに橙色の曙光が昇ってきた。
⊂鳥が啼きながら、投げた石のやうに弧を描いてその上を飛んで、又萱の中へ潜込んだ。
C罎粒い梁膾島にも陽が当たり、それが赤鱏を伏せたやうに平たく、大きく見えた。
ぁ並膸海痢鳳討領愕圓中の海から陸へ上がって来ると、恰度地引網のやうに手繰られて来た。

 それぞれは、実際との類似性をもとに、「ように」でたとえています。,領犹性は朝日が浮上する様子、△肋鳥が飛ぶ経路、は大根島の形、い六咳討領愕圓瞭阿 です。類似性に着目し、比喩を適切に使うことによって臨場感やイメージが伝わります。

実際 類似性 たとえ
何が どうする 何が どうする
…日が 昇ってきた 浮上する様子 曙光が 彼方から湧き上がるように
⊂鳥が 飛んで潜込んだ 飛ぶ経路 投げた石が 弧を描いて飛ぶように
B膾島が 平たく、大きく見えた 伏せた形 赤鱏が 伏せられたように
せ咳討領愕圓 海から陸へ上がって来る 形の動き 地引網が 手繰られて来るように

 赤鱏の比喩は、赤い陽光を受けた山の影が、西の海に朝早く見られたことを暗示しているかのようです。赤鱏は、赤・魚・西(襾)・早から構成されているからです。


参考文献
三島由紀夫:文章読本、中公文庫


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