構造の練習 その2
構造をとらえることによって、理解を深めることができます。相反する人物像が設定された小説や映画、賛成・反対の意見が求められる小論文課題、これらは対立する構造にもとづいています。
これから練習問題の解答を示します。
1.ジャック・ロンドンの小説『白い牙』と『野性の呼び声』の粗筋は同じ構造です。aの反対(対立項目)を−aで表し、移行を→で表すものとすると、二つの小説は a → −a という(一方が対立する他方に移行する)構造になっています。『白い牙』では、オオカミ(野性犬:a)が人間の優しさに触れて飼い犬(−a)になるので、a→−aの関係になります。一方『野性の呼び声』では、飼い犬(a)がオオカミの呼び声によって目覚め、野性犬(−a)になるので、a→−aという関係になります。
白い牙 : 野性犬 → 飼い犬
野性の呼び声: 飼い犬 → 野性犬
2項対立です。
2.じゃんけんで出すものをa(ぐー)、b(ちょき)、c(ぱー)とします。→(ならば)の先は勝者を表すものとすると、ジャンケンはつぎの構造になっています。
(aかb→a)で(bかc→b)で(cかa→c)
3項対立です。
a(ヘビ)、b(カエル)、c(ナメクジ)としても、3者の関係は成り立ちます。じゃんけんの種類は「構造という関係 (3項対立)」をご覧ください。
3.100円玉の表をA、裏をBとすると、表と裏はつぎのような構造になっています。「−」は反対を表すものとします。
A=−B で B=−A (表は裏の反対で、裏は表の反対)
2項対立です。
4.三角形の辺の長さをa、b、cとすると、すべての三角形はつぎの構造になっています。辺の長さや角度が違っていても変わらない関係です。
a+b>c で b+c>a で c+a>b (三角形の2辺の和は他の1辺より長い)
3項対立です。
5.サイコロの表と裏の数字をaとbとすると、a+b=7 という構造になっています。 表と裏の目をたすと、1+6=7、2+5=7、3+4=7 になります。
2項対立です。表と裏の2項間の関係を述べています。
6.映画『タイタニック』では、女性を生かすために漂う板に乗せ、男性は寒さで海中に沈んでいきます。この映画には女性を大切にするという慣習のほかに、「男性か女性か」「いきるか なくなるか」「一方か他方か」という二者択一の考えが根底にあるようです。相思相愛ならば、「男性も女性も」「いきるも なくなるも」「一方も他方も」共に生きる工夫をする考え方もできます。
2項対立です。
相反することを示して選択するという、2項対立の構造になっています。選択に対して、共生という考え方もあります。詳しくは「日本はハワイより美しいか」をご覧ください。
7.∀ab(a)と−∀ab(a)を反対、∃ab(a)と−∃ab(a)を小反対、∀ab(a)と∃ab(a)を大小、−∀ab(a)と−∃ab(a)を大小、∀ab(a)と−∃ab(a)を矛盾、−∀ab(a)と∃ab(a)を矛盾といいます。なお、∀ab(a)は「すべてのaはbである」、−∀ab(a)は「すべてのaはbでない」、∃ab(a)は「いくつかのaはbである(bであるaが少なくとも1つ存在する)」、−∃ab(a)は「いくつかのaはbでない(bでないaが少なくとも1つ存在する)」をあらわすものとします。
4項対立です。詳しくは「未開の文化と現代の論理」をご覧ください。
要素数が増えるほど、対立構造の関係は複雑になります。関係の数は要素の組み合わせで計算でき、n個から2つ取り出す組み合わせの数は、nC2=n!÷2!(n−2)! になります。Cは組み合わせ(Combination)の略で、たとえば、4!=4×3×2×1 、0!=1 です。関係の数は、下表のように計算できます。
これから練習問題の解答を示します。
1.ジャック・ロンドンの小説『白い牙』と『野性の呼び声』の粗筋は同じ構造です。aの反対(対立項目)を−aで表し、移行を→で表すものとすると、二つの小説は a → −a という(一方が対立する他方に移行する)構造になっています。『白い牙』では、オオカミ(野性犬:a)が人間の優しさに触れて飼い犬(−a)になるので、a→−aの関係になります。一方『野性の呼び声』では、飼い犬(a)がオオカミの呼び声によって目覚め、野性犬(−a)になるので、a→−aという関係になります。
白い牙 : 野性犬 → 飼い犬
野性の呼び声: 飼い犬 → 野性犬
2項対立です。
2.じゃんけんで出すものをa(ぐー)、b(ちょき)、c(ぱー)とします。→(ならば)の先は勝者を表すものとすると、ジャンケンはつぎの構造になっています。
(aかb→a)で(bかc→b)で(cかa→c)
3項対立です。
a(ヘビ)、b(カエル)、c(ナメクジ)としても、3者の関係は成り立ちます。じゃんけんの種類は「構造という関係 (3項対立)」をご覧ください。
3.100円玉の表をA、裏をBとすると、表と裏はつぎのような構造になっています。「−」は反対を表すものとします。
A=−B で B=−A (表は裏の反対で、裏は表の反対)
2項対立です。
4.三角形の辺の長さをa、b、cとすると、すべての三角形はつぎの構造になっています。辺の長さや角度が違っていても変わらない関係です。
a+b>c で b+c>a で c+a>b (三角形の2辺の和は他の1辺より長い)
3項対立です。
5.サイコロの表と裏の数字をaとbとすると、a+b=7 という構造になっています。 表と裏の目をたすと、1+6=7、2+5=7、3+4=7 になります。
2項対立です。表と裏の2項間の関係を述べています。
6.映画『タイタニック』では、女性を生かすために漂う板に乗せ、男性は寒さで海中に沈んでいきます。この映画には女性を大切にするという慣習のほかに、「男性か女性か」「いきるか なくなるか」「一方か他方か」という二者択一の考えが根底にあるようです。相思相愛ならば、「男性も女性も」「いきるも なくなるも」「一方も他方も」共に生きる工夫をする考え方もできます。
2項対立です。
相反することを示して選択するという、2項対立の構造になっています。選択に対して、共生という考え方もあります。詳しくは「日本はハワイより美しいか」をご覧ください。
7.∀ab(a)と−∀ab(a)を反対、∃ab(a)と−∃ab(a)を小反対、∀ab(a)と∃ab(a)を大小、−∀ab(a)と−∃ab(a)を大小、∀ab(a)と−∃ab(a)を矛盾、−∀ab(a)と∃ab(a)を矛盾といいます。なお、∀ab(a)は「すべてのaはbである」、−∀ab(a)は「すべてのaはbでない」、∃ab(a)は「いくつかのaはbである(bであるaが少なくとも1つ存在する)」、−∃ab(a)は「いくつかのaはbでない(bでないaが少なくとも1つ存在する)」をあらわすものとします。
∀ab(a) | ― | −∀ab(a) | |
| | × | | | |
∃ab(a) | ― | −∃ab(a) |
4項対立です。詳しくは「未開の文化と現代の論理」をご覧ください。
要素数が増えるほど、対立構造の関係は複雑になります。関係の数は要素の組み合わせで計算でき、n個から2つ取り出す組み合わせの数は、nC2=n!÷2!(n−2)! になります。Cは組み合わせ(Combination)の略で、たとえば、4!=4×3×2×1 、0!=1 です。関係の数は、下表のように計算できます。
構造 | 関係の数 | 計算 | |
2項対立 | 1 | 2C2=2÷(2×1) | |
3項対立 | 3 | 3C2=3×2×1÷(2×1) | |
4項対立 | 6 | 4C2=4×3×2×1÷(2×2×1) | |
5項対立 | 10 | 5C2=5×4×3×2×1÷(2×3×2×1) |
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