中学からの作文・論文

作文・論文を書くための本質化・論理構成・文章表現。
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ミルとタミフル

 ジョン・スチュアート・ミルは、因果関係の推理の基礎をつくりました。19世紀イギリスのミルは、8歳で数学を学び、論理学、倫理学、政治・経済学に足跡を残しています〔1〕。たとえば、幸福の総和を最大にする行動の考え方(功利主義)〔2〕や、婦人参政権を唱えました。

 複数の原因が関係すると、因果関係の立証が難しくなります(因果関係の推理)。ミルの因果関係の推理〔3〕には、一致法、差異法、一致差異法、共変法、剰余法の五つがあります。ここでは、一致法、差異法について、タミフルを例に説明します。

1.一致法
 現象Aが、事象ab、ac、adのもとで発生し、Aが一致している場合、現象Aの原因はaであろうとみなします。
 (ab→A)で(ac→A)で(ad→A)→(a→A)?

例1: インフルエンザ罹患をa、タミフル服用をb、異常行動をAとします。事象abでAが発生し、事象bでAが発生するなら、b→Aであろうと推理できます(注1)
 (ab→A)で(b→A)→(b→A)?

(注1)インフルエンザにかかっておらず、タミフルを服用して異常行動が発生しています。

 インフルエンザ治療薬「タミフル」服用後に異常行動をとった9歳の女児が、インフルエンザにかかっていないと診断されていたことが28日、わかった。 診断した医師は「異常行動の原因はタミフルの可能性がある」と話している。厚生労働省も事実関係を把握し、タミフルとの関連について検討することにしている。 (後略) (2007年3月29日 読売新聞)


2.差異法
 現象Aが、事象abcのもとで発生し、事象bcのもとでは発生しない場合、現象Aの原因はaであろうとみなします。
 (abc→A)で(bc→−A)→(a→A)?

例2: インフルエンザ罹患をa、タミフル服用をb、異常行動をAとします。事象abでAが発生し、事象aのときにAが発生しないなら、b→Aであろうと推理できます(注2)
 (ab→A)で(a→−A)→(b→A)?

(注2)実際は、タミフルを使わず解熱剤を使ったときに、異常行動が発生しています。
 横浜市小児科医会(水野恭一会長)は29日、インフルエンザにかかった少年(14)が治療薬「タミフル」を服用していないのに、自宅の2階から飛び降りる異常行動があったと発表した。 (中略) 
 同会によると、少年は19日から38度前後の発熱があり、20日に横浜市栄区の医院でインフルエンザと診断された。医師は症状が軽かったため、タミフルは使用せず、解熱剤(アセトアミノフェン)だけを処方した。 (2007年3月29日 日本経済新聞)


参考文献
1.ウィキペディア: ジョン・スチュアート・ミル (2007年3月30日参照)
2.草野耕一: 日本人が知らない説得の技法、講談社
3.仲本章夫: 論理学入門、青木書店


 つづく

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