中学からの作文・論文

作文・論文を書くための本質化・論理構成・文章表現。
(基礎知識: ことわざ・慣用句、三字・四字熟語、古文、漢字)
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文末での時制の基準

 こんな先生がいると、学校が楽しくなりそうです。数学の先生が、代返をみとめる文章を書いています。

 高等学校生は、サボル事に大変興味を持つ習性があった。そして、他人に返事を依頼することが盛んに行われた。これを代返といった。名簿を見て読んでいると、この代返が分からないので、出席数と実在数が合わなくなる。これを気にして、何回も呼び直す神経質の教師もあった。俺は名簿などを見ていないから、代返はすぐ分かる。併し俺は、代返を見破るためにこんな事をしていたのではない。人相を観察することによって、各人の内にひそむ特質を知りたかったのである。従って、代返すればそれは出席と見なした。代返にも誠意を認めたのである。このような態度は、ある一派の同僚には嫌われた。生徒におもねるというのだ。俺はおもねたのではない。出欠席といった小さなことを取上げて、問題とすることが嫌いだったのである。併し、俺がこれをつけないと、記録の整理上困ると思うので、欠席するつもりの者だけを欠席につけておいた。従って遅刻は記録せず、時間の終わりまでに来た者には欠席のしるしを消してやった。併し、人は増長し易いものである。この特権を利用して、数学より前の時間の欠席を、ついでに消そうとする者も現われた。けじめは中々つけにくいものだ。尚、遅刻を記録しない俺が、名前を時間の初めに呼んだのには、理由があった。それは、毎時間口のまわりをよくする為のウォームアップを必要としたからである。  (蛭川幸茂 『落伍教師』 より)

 この文章の各文末は、現在形と過去形になっています。二つの時制を使い分ける基準があるか、調べてみました。その結果、事実は過去形に、考えは現在形になっていることがわかりました。数学教師の蛭川幸茂さんは、事実と考えを時制によって明確に区別しています。

1.事実を述べる
 出来事・行動は、文末が過去形になっています。
  サボル事に大変興味を持つ習性があった
  返事を依頼することが盛んに行われた
  これを代返といった
  何回も呼び直す神経質の教師もあった。
  代返すればそれは出席と見なした
  ある一派の同僚には嫌われた
  欠席するつもりの者だけを欠席につけておいた
  時間の終わりまでに来た者には欠席のしるしを消してやった。
  欠席を、ついでに消そうとする者も現われた
  名前を時間の初めに呼んだのには、理由があった

2.考えを述べる
 考えをあらわす理由・経験則は、文末が現在形になっています。理由の文は、「ので」「から」「ために」「のだ」「のではない」が使われています。経験則の文は、「ものである」「ものだ」が使われています。
  代返が分からないので、出席数と実在数が合わなくなる
  名簿などを見ていないから、代返はすぐ分かる
  代返を見破るためにこんな事をしていたのではない
  各人の内にひそむ特質を知りたかったのである
  代返にも誠意を認めたのである
  生徒におもねるというのだ
  俺はおもねたのではない
  小さなことを取上げて、問題とすることが嫌いだったのである
  人は増長し易いものである
  けじめは中々つけにくいものだ
  口のまわりをよくする為のウォームアップを必要としたからである


参考
中学からの作文・論文: 文末から時空をこえて (紀行文)
作文構成ゲーム: 「川あそび」を見なおす (できごと作文)


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