中学からの作文・論文

作文・論文を書くための本質化・論理構成・文章表現。
(基礎知識: ことわざ・慣用句、三字・四字熟語、古文、漢字)
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読みやすくする工夫 2

 段落は、まとまった意味の単位といわれます。段落を分ける基準はあるでしょうか。

 段落がない文章があります。俳優でエッセイストの殿山泰司さんは、「文章修業なんか―」(『私の文章修行』)で、本文2940字を一つの文で書いています。段落がなく、文末にマルが一つあるだけです。

 段落が一つだけの文章もあります。「文末での時制の基準」でとりあげた蛭川幸茂先生の『落伍教師』の一部は、段落が一つで、600字の複数文からなります。この文章をもとに、段落分けを形式と内容から考えてみましょう。

1.段落の字数
 普通の人が書く場合、一段落の字数は100字から200字くらいを目安にしましょう。段落があると、文頭や文末に空白ができ、読みやすくなります。本稿は1行が32字なので、3行から6行に相当します。

2.段落の区切り
 文章の構成と段落は対応しています。したがって段落の区切りは、構成単位を考えることになります。構成の単位には、話題、場面、考え、理由、事例などがあります。

 蛭川先生の文章構成を、つぎのようにしてみます。
・他人に返事を依頼することを代返といった。代返によって、実在数が合わなくなる。(話題)
・自分は代返がすぐ分かるが、代返にも誠意を認めた。(考え)
・代返を認めたのは、出欠席のような小さなことを問題にしたくなかったからだ。(考え)
・自分は、遅刻はつけずに、欠席だけ記録した。前の時間の欠席も消そうとする者もいた。(考え・事例)
・遅刻を記録しないのに出欠をとったのは、口のウォームアップだった。(考え・理由)

 漢字の使い方の工夫とあわせて、段落を分けて書いてみます。段落はそれぞれ、130字、129字、84字、183字、79字です。はたして読みやすくなったでしょうか。

 高校生は、サボルことにたいへん興味を持つ習性があった。そして、他人に返事を依頼することが盛んに行われた。これを代返といった。名簿を見て読んでいると、この代返が分からないので、出席数と実在数が合わなくなる。これを気にして、何回も呼びなおす神経質の教師もあった。
 俺は名簿などを見ていないから、代返はすぐ分かる。ただし俺は、代返を見破るためにこんなことをしていたのではない。人相を観察することによって、各人の内にひそむ特質を知りたかったのである。したがって、代返すればそれは出席と見なした。代返にも誠意を認めたのである。
 このような態度は、ある一派の同僚には嫌われた。生徒におもねるというのだ。俺はおもねたのではない。出欠席といった小さなことを取上げて、問題とすることが嫌いだったのである。
 しかし、俺がこれをつけないと、記録を整理するときに困ると思うので、欠席するつもりの者だけを欠席につけておいた。したがって遅刻は記録せず、時間の終わりまでに来た者には欠席のしるしを消してやった。しかし、人は増長しやすいものである。この特権を利用して、数学より前の時間の欠席を、ついでに消そうとする者も現われた。けじめは、なかなかつけにくいものだ。
 なお、遅刻を記録しない俺が、名前を時間の初めに呼んだのには、理由があった。それは、時間ごとに口のまわりをよくするためのウォームアップを必要としたからである。


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