論理の飛躍
新聞に、「よみうり入試必勝講座 WITH河合塾」という折り込みが入っていました。小論文の問題があり、引用された文章の一部が気になりました。
気になったのは、「虹の色も事細かに分けて表現する日本の言葉」の「も」です。この「も」は、「虹の色も(ほかも)、日本の言葉は事細かに分けて表現できる」ことを示唆しています。
課題文は、7色表現から、虹の色「も」を媒介にして、日本語が誇れることを導き出しています。
3色で表す言語文化とくらべ、日本語は虹を7色で表現する。
虹の色のように、日本語は事細かに分けて表現する。
だから、日本語は品ぞろえが大へん豊かであり、誇っていい。
虹を7色で表すからといって、日本語は事細かに表現するでしょうか。たとえば日本語の「牛」は、英語では cattle(総称)、a cow(雌牛) 、a bull(雄牛)、a calf(子牛)のように分化しています。日本語の「論文」は、英語では term paper、research paper、thesis、dissertation、monograph、report、formal paper、scientific paper、essay、article、treatise のように分化しています。
虹の色という一つの事例から、「日本の言葉は大へん豊かな品揃えである」と帰結することは、無理があります。
「言葉の品ぞろえは文化によっていろいろ」であるように、日本の文化も他国の文化も尊重して考えましょう。「日本の文化は、他国の文化よりも優れている」という主張は、この例のように反論されやすいからです。
語彙(ごい)、つまり言葉の品ぞろえは文化によっていろいろです。私たちは虹を7色で表現しますが、3色にしか分けない言語文化もあります。 どの言葉を使うかということは、地域や話し手の年齢、そして性などでさまざまです。話し手は袋の中から「この人と話す場合はどの言葉がいいのか」と選んでいるわけです。その点、虹の色も事細かに分けて表現する日本の言葉は、「さまざまな場面で、それぞれに使い分けることができる」たいへん豊かな品ぞろえ。誇っていいと思います。 (後略) |
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(2005.4.5 読売新聞 東京朝刊 読売・中公 女性フォーラム21『おんな言葉、おとこ言葉―社会を映す装置 再点検』「パネリストの一言」より『誇ろう言葉の品ぞろえ』から一部抜粋) |
気になったのは、「虹の色も事細かに分けて表現する日本の言葉」の「も」です。この「も」は、「虹の色も(ほかも)、日本の言葉は事細かに分けて表現できる」ことを示唆しています。
課題文は、7色表現から、虹の色「も」を媒介にして、日本語が誇れることを導き出しています。
3色で表す言語文化とくらべ、日本語は虹を7色で表現する。
虹の色のように、日本語は事細かに分けて表現する。
だから、日本語は品ぞろえが大へん豊かであり、誇っていい。
虹を7色で表すからといって、日本語は事細かに表現するでしょうか。たとえば日本語の「牛」は、英語では cattle(総称)、a cow(雌牛) 、a bull(雄牛)、a calf(子牛)のように分化しています。日本語の「論文」は、英語では term paper、research paper、thesis、dissertation、monograph、report、formal paper、scientific paper、essay、article、treatise のように分化しています。
虹の色という一つの事例から、「日本の言葉は大へん豊かな品揃えである」と帰結することは、無理があります。
「言葉の品ぞろえは文化によっていろいろ」であるように、日本の文化も他国の文化も尊重して考えましょう。「日本の文化は、他国の文化よりも優れている」という主張は、この例のように反論されやすいからです。
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