中学からの作文・論文

作文・論文を書くための本質化・論理構成・文章表現。
(基礎知識: ことわざ・慣用句、三字・四字熟語、古文、漢字)
<< September 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 英語における動物観 | 最新へ | 例の並べ方 >>

不確かな前提

 「相談すべきでした」といえるでしょうか。赤ちゃんポストについて、つぎのような意見が述べられています〔1〕。

 熊本市の慈恵病院に設置された「赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)」に3歳の男児が預けられたという。 (中略)
 男児は「父親に連れて来られた」と話しているそうです。父親には、子育てが困難な事情があったのかもしれません。
 しかし、両親の子育ての放棄は許されることではありません。父親はまず児童相談所に相談すべきでした。「児童相談所に相談すれば、周囲から育児放棄やぎゃくたいを疑われて恥ずかしい」という認識が、この父親にあったのでしょうか。 (後略)
気軽に相談できるような、児童相談所などの態勢のさらなる整備を期待します。

 投稿者は、「父親は児童相談所に相談していない」ことを前提に、相談態勢の整備を訴えています。しかし、父親が相談していないとはいえません。名前は公表されていないので、相談の有無はわからないはずです。相談していた可能性もあります。

 不確かな前提から、推論しないようにしましょう。たとえば、「相談すれば、起きなかったはずだ」という前提のもとで、後件を否定し、「起きたのは、相談しなかったからだ」、だから「相談すべきでした」とはいえません。なぜなら、「相談していても、起きた」かもしれないからです。

 因果関係の可能性を、いくつかあげてみましょう。
・切羽詰った事情があると、起きる可能性がある。
・育児を放棄すると、起きる可能性がある。
・相談しないと、起きる可能性がある。
         :

  事情がある \
  放棄する ―→ 起きる可能性がある
  相談しない /
    :

 因果関係は、「事情があるか、放棄するか、相談しないか、・・・ならば、起きる可能性がある」です。「相談しないと、起きる可能性がある」からといって、「起きるのは、相談しないからだ」とは断定できないのです。


参考文献
1.読売新聞 2007年5月23日朝刊、気流「子育て悩む親の相談態勢整備を」 主婦 36


- | 中学からの作文・論文 ホーム | comments(0) | - | permalink

この記事に対するコメント

コメントする









中学からの作文・論文 プロセス
関連学習  コメント  メルマガ