中学からの作文・論文

作文・論文を書くための本質化・論理構成・文章表現。
(基礎知識: ことわざ・慣用句、三字・四字熟語、古文、漢字)
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読書感想文の目的

 作文の技術を教えずに、本を読ませて思ったことを書かせる。「表現力の育成にはなりにく い」〔1〕、「アホらしい文章教育」〔2〕という見かたがある。

 読書感想文の目的は何か。実際に何が書かれているのだろう。読書感想文の文末を調べてみ た。文末には、言いたいことが書かれる傾向があるからだ。

規範を表明する
 全国コンクールの入選作品が載っている『こんなにかんたん! 読書感想文5・6年生』を 調べた〔3〕。感想文の文末には、共感や生きかたが書かれていた。感想文をとおして、行動 規範の宣言や態度表明をしている〔5〕。

  「命のつながりと命の大切さを教えてくれてありがとう」
  「少しずつでも成長していきたいと思います」
  「これからは、『本気』でがんばるぞ。見ていてね」
  「みんなの手本になるように、その勇気を持とうと思う」
  「本当に私は、生かされているのです」

成長過程で書かれる
 感想文の目的には「徳育」があるのではないだろうか。さらに詳しく調べてみた。50号を 迎えた『読書感想文・画集』を、学年別に調べた〔4〕。低学年(1・2年生)、中学年(3 ・4年生)、高学年(5・6年生)別に、横浜地区の特選・入選の10作品、合計30作品の 文末を分類した〔表1〕。

 低学年は、行動規範と理科の発見について書いていた〔6〕。行動規範には、「あいさつ・ 感謝をする」 「困っている人を助ける」 「他人の幸福に配慮する」 「種・環境・資源を未来に継承する」 があった。理科の発見には、虫たちや塩に関するものがあった。

 中学年は、「がんばる」 「やってみる」 「続ける」 「思いやる」 ことを書いていた〔7 〕。自分から行動する意欲と、他人の幸福への配慮がうかがえる。

 高学年は、「本質をとらえる」 「自分の将来」 「困っているときはお互い様」 「種・環 境・資源を未来に継承する」 ことを書いていた〔8〕。高学年になると考えが深まり、人や 事物の大切なものを見ようとしている。また、将来が楽しみな様子がうかがえる。道徳心を育 てる「徳育」に限定されているわけではない。

生きる力を引き出す

 『読書感想文・画集』の巻頭には、読書をとおして期待することが書かれている。

「いろいろな本を読み、本の世界に感動したり、共感したり、自分の知らない新し い世界に出あったりしながら、自分の世界を広げ、生きることのすばらしさを学んでくれるこ とを願っています」 (横浜市小学校図書館研究会会長 吉岡日三雄 「心の栄養」より)

 読書感想文は、成長過程の証といえる。低学年では、規範を中心とした躾・模倣から始まる 。中学年では、「やってみる」「続ける」試行錯誤がある。高学年では、より深く考え自立へ と向かう。読書感想文の目的は、生きる力を引き出すことではないだろうか。作文技術だけに こだわらなくてもよい、と考える。

 表1:学年別の文末内容
低学年 中学年 高学年
生きかた あいさつ・感謝
かみさまはえがおが大すき
困っている人を助ける
ぼくもピカピカのように
他人の幸福に配慮
ひとりよりふたり、ふたりより
みんな
うさぎみたいになりたいな
だっこのパワー
がんばる
勇気を出して
あきらめない心
やってみる
ゆかいだね、動物たちの
俳句会
勉強は夢への第一歩
思いやる/他人の 幸福配慮
わたしの中に生まれた新し
い気持ち
ウォートン、本当にありがとう
きっと伝わるすなおな気持ち
本質をとらえる
心で見ることの大切さ
親からの愛情を自信に変
えて
「本当の自分」を見つめる
ということ
命を引きついで、ともに生
きる
自分の将来
ぼくのこれからの旅に向
けて
困っているときはお互い様
心のきずな
心のつながりが歴史を刻む
環境 種・環境・資源を 未来に
大切ないのち
続ける /環境を未来に
一冊の本に出会って、変わ
った
自然が教えてくれたこと
種・環境・資源を 未来に
森林のめぐみ
理科 きたなくないうんち
「虫たちのみをまもる力」を
読んで
海の水は、なぜしおからいか
「セミのうた」でわかったこと
続ける
カマキリのひみついっぱい
自分の将来
真理を求める力
夢をかなえたモグラマシン
躾・模倣 試行錯誤 自立

参考文献
1.ウィキペディア: 読書感想文 (2007年6月28日参照)
2.泉 忠司: 泉式 文科系必修論文作成術、夏目書房
3.松田正子: こんなにかんたん! 読書感想文5・6年生、成美堂出版
4.横浜市小学校図書館研究会: 平成十六年度読書感想文・画集
5.読書感想文の文末1
6.読書感想文の文末2
7.読書感想文の文末3
8.読書感想文の文末4


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