中学からの作文・論文

作文・論文を書くための本質化・論理構成・文章表現。
(基礎知識: ことわざ・慣用句、三字・四字熟語、古文、漢字)
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体験学習

 「自分で考え行動 介護体験で学ぶ」という新聞への投稿記事がありました〔1〕。この文章を読んで、投稿者のすばらしい発見と、最後の一文について気がついたことを述べます。

 教職課程の履修で、擁護学校での介護体験をとおして学んだことが書かれています。大学生は、先生の指示されたとおりにすると、間違いはなく気楽だと考えていました。ところが、「失敗を恐れないで自分で考えてやってみなさい」と言われたそうです。

 そして、「思考錯誤しながらひとつのことを成し遂げることこそ、記憶に残り、貴重な経験として蓄積される」。「間違えをくり返し、悩みながら答えを導き出すことが『学ぶ』ということだ」と述べています。

 学生はすばらしい発見をされました。人は躾(しつけ)、模倣、試行錯誤、をへて自立へと向かいます。躾や模倣の段階では、失敗しないために母親のように優しく保護し教えることが必要です。試行錯誤から自立の段階では、父親のように突き放す厳しさのもとで鍛錬し、失敗をとおして自ら学ぶことも必要です(人命にかかわることや、社会的影響があるものは失敗できませんが)。

 終わり方が気になりました。「私は自分で考えて行動することの大切さを今回の介護体験で知った」と述べたあと、「苦労し、悩むことは誰でも避けたいと思うが、『人間は考える葦である』という。考えることは人間を成長させるよい“スパイス”ではないだろうか」と締めくくっています。

 最後の一文「苦労し・・・ではないだろうか」はいらない、と考えます。なぜなら、「私は自分で考えて行動することの大切さを・・・知った」で十分に伝わるからです。美辞麗句で終わりたいのでしょう。しかし、曖昧な表現のため逆効果になっています。「考える葦」というパスカルの言葉が何を意味するのか、分かりにくいといえます。「ちっぽけな人間でも、考えることによって大きな力を発揮することができる」ということでしょうか。また、「スパイス」は食欲を促すとされますが、人間の成長を促すには無理があります。「機会」のほうが自然です。


参考文献
1.読売新聞 2007年8月6日朝刊 「気流」 林 佐弥「自分で考え行動 介護体験で学ぶ」


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