中学からの作文・論文

作文・論文を書くための本質化・論理構成・文章表現。
(基礎知識: ことわざ・慣用句、三字・四字熟語、古文、漢字)
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紙の辞書と電子辞書

 つぎの文章は、電子辞書よりも「紙の辞書のほうが優れていている」と述べています〔1〕。また、電子辞書では、「成績の伸びが期待できない」とあります。本当でしょうか。

 電子辞書は今では高校生の半数が持っているとも言われる。こうした中で、あくまで紙の辞書にこだわっている高校がある。(略)
 英語科の I 教諭(51)は「派生する意味や例文など、単語の全体像をつかむには紙の辞書のほうが優れている」との考えから、書籍辞書を使うよう指導している。
 引き方を知らない生徒にもていねいに教えることで、入学当初、一つの単語に3分間かかった生徒も、夏休みごろには10秒で引けるようになるという。
 いち早く狹纏匱書禁し瓩鯊任曾个靴討たM教頭(55)も「電子辞書だと、最初の意味を確認して終わりになる。便利だが、基礎が身につかないうちに使っても、成績の伸びは期待できない」と指摘する。
 M教頭は、前任校に在籍していた7年前、予習をしてこなかった生徒が授業中、必死に電子辞書を引く姿を目の当たりにした。そこで、当時の3年生約100人を対象に調査した結果、成績が下位の生徒ほど電子辞書を使っている傾向があることが分かった。
 「引かないよりは引く方がまし、と電子辞書使用を認めざるを得ないこともあるが、やはり単語力や英語力をつけるには紙の辞書」とM教頭は力説する。

 電子辞書にもよりますが、紙の辞書と遜色がなくなってきています。最近の辞書は、7年前の単語中心のころとは比べようのない内容になっています。画面には複数の意味が表示されます。例文が多数掲載され、小さな字も読みやすくなっています。発音が聞けるので、従来の文字中心の英語から、音声をともなう学習に役立ちます。

 相関関係と因果関係は区別します。「成績が下位の生徒ほど電子辞書を使っている傾向」から、「電子辞書を使うと、英語の成績が下がる」「紙の辞書を使うと、英語の成績が上がる」とは言えません。因果関係には時間の順序がいるからです。「電子辞書を使う」と「成績が下がる」はどちらが先で後か、傾向からだけでは不明です。

 二つのブラフは相関関係を表しています。「横軸の変化にともない、縦軸が変化する」わけではありません。たとえば、身長と体重は相関関係があります。しかし、「背が高くなる結果、体重が増える」のか、「体重が増える結果、背が高くなる」のか、わからないことです。

  電子辞書と成績

 左図は、「電子辞書を使う → 成績が下がる」のように見えます(→:ならば)。右図は、「成績が下位である → 電子辞書を使う」のようにも見えます。しかし、右図と左図は座標軸の取り方が違うだけで、相関関係は同じです。「原因 → 結果」を表してはいません。「電子辞書を使う → 成績が下がる」とは、一概には言えないのです。


参考文献
読売新聞 2008年1月12日朝刊 「21世紀の辞書学 書籍版の復権 紙をめくり学力を上げる」
(表記の一部を変更しています)


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