中学からの作文・論文

作文・論文を書くための本質化・論理構成・文章表現。
(基礎知識: ことわざ・慣用句、三字・四字熟語、古文、漢字)
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ジレンマの考え方

 「あちらを立てれば、こちらが立たぬ」。一方をよくしようとすると、他方がわるくなることがあります。次の例は、「地震の記事 感じるジレンマ」という見出しになっています。どのようなことが記者のジレンマなのか、考えながら読んでみましょう。

 (地震が起きると)地震や地すべりの仕組みを記事にするのだが、いつも歯がゆく思うのは、情報を十分に伝えられないことだ。
 新聞は、読者が義務教育で習った事は知っているという前提で記事を書くことが多い。たとえば、初期微動、主要動、初期微動継続時間、震源、震央距離、P波、S波、断層、活断層、プレートという言葉。いずれも中学校の教科書に載っている。 (略)
 だが実際には、今回の地震報道でも、「プレート(板状の岩盤)」という具合に説明をつけている。 (略)
 習っていない人がいるかもしれないから、説明するのはよいのだが、問題はこのような言葉の説明に字数を使えば、そのぶん、肝心の内容を削らなければならない点だ。それでなくても、この春から活字を大きくしたので記事は短くなっている。すべての人が高度な科学知識を持つべきだとも思わないが、せめてこのくらいのことは知っていてもらえたら……。

 ジレンマは両刀論法ともいいます。ジ(di:二つの)とレンマ(lemma:刀、前提)からなり、相反する二つの前提の板ばさみになることです。記事のジレンマを示します。

 地震用語を説明して書くか、用語を説明しないで書くかだ。
 説明して書くと、肝心の内容を削らなければならないので、情報を十分に伝えられない。
 説明なしで書くと、習っていない人がいるかもしれないので、情報を十分に伝えられない。
 どちらにしても、情報を十分に伝えられない。

 ジレンマの思考形式にはいくつかの型があります。この例は次の形式になっています。「→」は「ならば」を表します。

 (AかB)で、(A→C)で(B→C)→C

 「AかBの道しかなく、Aを選ぶとCに行き、Bを選んでもCに行く」という考え方です。

   ジレンマ

 ジレンマを解消するには、選択肢 A B を増やすことを考えます。または、帰結 C が妥当か見直します。たとえば、用語を図で示す方法があります。要点をまとめると、「情報を十分に伝えられる」可能性もあります。

 参考までに、ジレンマの類語を示します。
 二律背反(トレードオフ): 複数の条件を同時に満たすことができない関係。例: 費用削減 ⇔ 品質向上
 分配交渉(ゼロ・サム): 一方の利益と他方の利益の総和がゼロになる交渉。


参考文献
読売新聞 2008年6月23日夕刊 コンパス「地震の記事 感じるジレンマ」
(表記の一部を変更しています)


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