中学からの作文・論文

作文・論文を書くための本質化・論理構成・文章表現。
(基礎知識: ことわざ・慣用句、三字・四字熟語、古文、漢字)
<< September 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 古文の言葉40 | 最新へ | 熟語を使った文章86 >>

会津藩の教え

 江戸時代、会津藩には「什の掟」がありました。什(じゅう)は、藩士の子弟を教育するため組織です。掟は七つあり、「ならぬことはならぬものです」で結ばれています。

 一つ、年長者の言うことに背いてはなりませぬ
 二つ、年長者には御辞儀をしなければなりませぬ
 三つ、虚言をいふ事はなりませぬ
 四つ、卑怯な振舞をしてはなりませぬ
 五つ、弱い者をいぢめてはなりませぬ
 六つ、戸外で物を食べてはなりませぬ
 七つ、戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ
 ならぬことはならぬものです

 什の掟は、儒教の影響を受けているようです。一と二は、自分を抑え他を先立てる態度です(辞譲)。三と四は、立派でない行いを恥ずかしく思う態度です(羞悪)。五は、痛ましいことを見過ごせない態度です(惻隠)。また三と四と五は、よしあしを判断する態度です(是非)。

 この掟と西洋の倫理を比べてみましょう。下表の「倫理のことば」は、西洋の倫理に基づいています。「あいさつをせよ」と「感謝されるように行動せよ」は除きます。

 類似している行動規範があります。「虚言をいふ事はなりませぬ」「卑怯な振舞をしてはなりませぬ」と、「偽りの約束・契約をするな」は似ています。「弱い者をいぢめてはなりませぬ」と、「他人に危害を加えるな」「困っている人を助けよ」も似ています。

 洋の東西を問わず、社会生活には似たような行動規範が必要であることが分かります。違いもあります。この掟では「ならぬことはならぬ」としていますが、西洋の倫理では規範の理由づけが可能です(「倫理のことば」事例参照)。理由があれば説得や議論ができます。

 表:倫理のことば
自分に対する義務 他人に対する義務 未来の世代に
対する義務



自分に危害を加えるな
規則を守れ
他人に危害を加えるな
偽りの約束・契約をするな
社会的不平等を是正せよ
生命・自由・財産を侵すな
幸福の総和を最大にせよ
種・環境・資源を
未来に継承せよ



愚行をするな
自己の向上に努めよ
あいさつをせよ
他人に迷惑をかけるな

感謝されるように行動せよ
 困っている人を助けよ
 他人の幸福に配慮せよ
 社会に貢献せよ
弱い命令: できるだけ〜するな  できるだけ〜せよ
(2009年2月26日 改定3)


参考文献
1.藤原正彦:国家の品格、新潮新書
2.フリー百科事典「ウィキペディア 什」
3.星野勉ほか編:倫理思想辞典、山川出版社


- | 中学からの作文・論文 ホーム | comments(0) | - | permalink

この記事に対するコメント

コメントする









中学からの作文・論文 プロセス
関連学習  コメント  メルマガ